操り人形 中



「ん・・・っ・・ん?」
  《ここどこ?ってかあたし何でここにいるんだっけ》

は目を覚ますと、小屋のような場所にいた。
手と足は、鎖のようなもので縛られている。

《んと、そだ、あん時誰かに殴られて・・・・たぶん気絶しちゃったんだ》

  ( ジャラ )

が動こうとすると、縛られている鎖がぶつかりあい、音が鳴った。

《うわー、何コレ?あたしMじゃないんだけどなぁ》

そんなことを思っていると・・・・

?「気づきましたか?」
「 !? 」

目の前に、樟と苦愚が、現れていた。

「あんたは、たしか、苦愚っ!!」
苦愚「ほぉ、さすが、真選組隊士だ。俺を知っているようだな」
樟「・・・・・」
「なんで、あたしなんか、拉致ったの?」
苦愚「樟が、おまえを愛しているからだ」
「・・・・・はあ?そんな理由で?」
樟「そんな理由とか、言うな。」
「まず、いっとくけど、あたし、彼氏・・愛してる人がいるから」
樟「そんなのは、関係ない」
「いやいや、一番大事なことでしょ」
苦愚「関係ないのだ、おまえは、そんな感情も忘れてしまうのだからな」
「 !? それはどういうこと?」
樟「あなたの感情をなくすからですよ」
「そんなこと出来るわけないでしょ!!」
苦愚「それが、出来るのだよ、樟の力、心滅術ならな」
「しんめつじゅつ?」
樟「知らないようですね、心滅術とは、術をかけた相手の心を滅ぼす術のことです」
苦愚「そう、だから、心を滅ぼされた者は、感情を失うのだ」
「・・・・・・・・」

一通りの説明を終えると樟は、の前に近づいてきた。
すると

  ( ブワッ )

一気に樟の瞳が紫色へと変わった。そして、

  ( ドサッ )
「っ・・・・・・・」
は、突然倒れた。
苦愚「術は、成功したのか?」
樟「はい、成功しました」
苦愚「これで、この女は、おまえのものとなった」
樟「はい」
苦愚「だが、やらなくてはならない事があるぞ」
樟「やらなければならない事とは、なんですか?」
苦愚「この女の愛する、いや愛していたものを消さなければならない」
樟「ですが、誰かが、分かりません」
苦愚「私の情報網をなめるな、そうだなぁ、この女に消してもらうとでもするか。
   その方が、あの男も、この女を手放すだろう」
樟「そうですね・・・・・」

樟と苦愚はにやりと不適な笑みを浮かべた。



そのころ真選組屯所では・・・・・

近藤「おぉ、トシたち帰ったか。ごくろう」
土方「近藤さん、は、先に帰ってきたか?」
近藤「いや、ちゃんは、帰ってきてないぞ。一緒じゃなかったのか?」
沖田「土方さん、探しに行きやしょう」
土方「あぁ」
山崎「局長ーっ!!たたた大変です」
近藤「どうしたんだっ!?山崎」
山崎「それがこんなものが、屯所の前に」

山崎は、何かが書かれている紙を出した。

土方「山崎、読めっ」
山崎「はいよっ、
      “真選組隊士を1人こちらの人形とさせてもらった。
       このものを返してほしければ、
       真選組 副長 土方十四郎 
       1人で、この場所へと来るがよい
       相手を楽しみにしているがよい”
                        だそうです。」
土方「チッ」

  ( ダッ )

沖田「なっ、土方さんっ!!」
山崎「副長ーっ!!」
近藤「トシのやつ、自分でどうにかするつもりか」
沖田「近藤さん、どうするんですかィ?」
近藤「んー、すぐに行くわけにも、いかんしな、まず、各隊の隊長を会議室に集めてくれ」
沖田&山崎「「はいよっ」」



《・・・・ん・・》

が目を開けると、くらい小屋の様な場所にいた。

《なんでこんな場所にいるんだろ?》

 (  ザッ  )

は、音がした方を見てみると

樟「あなたは、コレを見てどう思いますか?」

樟は、殺気を出すとともに刀を鞘から抜いた。

「何にも感じないね。刀だって事は分かるけど」
樟「そうですか。私のこと分かりますか?」
「うん、分かるよ。苦愚派の攘夷浪士 樟だよね」
樟「上手くいったようですね、あなたは、心滅術にかかったので記憶はありますが、
  感情はありません。そして、もう一つ・・・・・
  術をかけられた者は、その術者の命令に従う・・簡単に言うと操り人形です。
  まぁ、でもあなたには、感情が無いので、なにもためらう物はないですけどね。」
「へぇー、あなたがここに来たって事は、何か命令でも?」
樟「物わかりがいいですね。その通り君には
  真選組副長 土方十四郎 と殺し合いをしてもらいます」
「へえー、トシと殺し合いするんだ」

は無表情で、すべて他人事かのように淡々と言った。

《これが、感情がないというのかな。ほんと何も思わない》
樟「そのうち来るでしょう。それまで何か私に聞くことでもありますか?」
「んじゃ、あたしは感情を取り戻すことは出来るの?」
樟「私が術を解かない限りありえませんね、
  まぁ解いても感情が完璧に戻るまでには何年もかかりますが・・・」
「ふーん、そうなんだ」
樟「では、行きましょうか」
樟とは、今までいた小屋をでた。

NEXT